子宮頸癌の治療をした時の話

女性の生き方

こんな記事を見つけました。

「子宮頸がんは働き方の問題でもある」 32歳、ある女性の選択

私はこの記事の女性と同じ32歳の時に子宮頸癌の治療を受けています。現在も1年に1度の経過観察を続けています。幸い、大事に至らなかったからこそ妊娠することができました。

同世代の女性と話をすると、子宮頸癌やその前段階の異形成の治療経験は決して珍しい話ではありません。

同じような状況の方のお役に少しでも立てるように、自分の経験を記録しておこうと思います。

子宮頸癌検診の受診

1年に1度欠かさず受診していた子宮頸癌検診

私は両親ともに癌で早くに他界していたため、「自分も大病を患うかもしれない」という漠然とした不安感をもともと持っていました。特に母は30代で他界していたため、「母が他界した年齢まであと何年」と20代の頃から考えていました。

同世代の友人たちに比べて、「検査を受けなくてはいけない」という意識はかなり強かったと思います。子宮頸癌と乳癌の年に1度の検診は20代中盤から欠かさず受診していました。

HPVワクチンの接種

現在、賛否両論、話題にのぼることも多い、HPVワクチン。HPVワクチンとは、ヒトパピローマウイルス感染症を防ぎ、子宮頸癌などの発病を予防するワクチンです。

そもそも子宮頸癌は他の癌とは異なり、原因のほぼ100%がこのHPVウイルスの感染であることが明らかになっています。

私はこのHPVワクチン接種は、20代の終わり頃にすませていました。副作用が大きな話題になる少し前のことです。

私の接種した「サーバリックス」というワクチンは、16型と18型の2つのHPVウイルスに対して感染予防効果があります。しかし、全てのHPVウイルスの感染を予防できるというわけではありません。また、ワクチンの効果がどのくらい続くのかもはっきりとはしていないそうです。

結果的にワクチンを接種していたにもかかわらず、子宮頸癌になってしまいました。副作用の影響も加味して、HPVワクチンを受けるべきか否かはとても難しい判断だと思います。

検診の結果は「要再検査」

その年も例年通りに、子宮頸癌検診を受診しました。もともと婦人科でお世話になっていた、近所の小さなクリニックでの受診です。

この検診は「細胞診」と呼ばれる検査で、綿棒で子宮頸部をこすって行う簡単な検査です。いわゆる子宮頸癌検診とはこの検査のことを指し、出血や激しい痛みを伴うような大掛かりな検査ではありません。

検診結果は「再検査を受ける必要がある」とのこと。

毎年受けていた検診ですが、再検査の指示があったのは初めてのことでした。

とても焦って、「私は癌なんですか?」「治療の必要があるんですか?」などと聞いた覚えがありますが、「この時点ではただグレーというだけで細かいことは何もわからない」という話でした。「再検査指示が出ても、再検査の結果何もなかったという人も多いので、そんなに不安に思わないでください」と言われ、少し落ち着きました。

検診をしたクリニックでは次の検査が受けられなかったため、検査専門の病院を紹介してもらいました。

ところが…最短でも予約がとれるのが1か月後。「この間に病状が進行したらどうしよう」とまた不安になってしまいました。検診をしたクリニックに「もっと早く再検査を受けられる病院を紹介してもらえないか」と相談しましたが、「首都圏ではどこでもそのくらいかかる」と言われてしまい、約1か月悶々と過ごすことに。

再検査の受診

再検査は「コルポスコープ診」と「組織診」

再検査は「コルポスコープ診」と「組織診」を行いました。

「コルポスコープ診」は、膣拡大鏡という器具を患部に入れて、病気が疑われる部分を拡大して観察する検査です。

観察した上で最も病気が疑われる部分の組織を採取して調べるのが「組織診」です。「細胞診」と違って、組織をほんの少しですが削り取るので出血します。私の場合は、痛みはそれほどありませんでした。

両方合わせて30分もかからない検査で、終了するとそのまま普通に帰宅です。止血のためのガーゼが入ったままの状態での帰宅ですが、「翌日自分でとってください」とのことでした。検査前はかなりびびってましたが、想像していたよりはあっさり終わってホッとしました。

再検査の結果は「高度異形成」

この結果を聞くまでは、まだまだ手術をすることになるなんて思ってもいませんでした。再検査の結果「なにもなかった」もしくはなにかあるとしても「軽度異形成」くらいなんじゃないかと考えていました。実際に「そういったケースの方がずっと多い」と聞いていたこともありますが、「私は1年に1回きちんと検査を受けていて、昨年は何の異常もなかった」という自信もありました。

子宮頸癌の検査では癌になる前段階の異変として、「軽度異形成」「中等度異形成」「高度異形成」と診断されることがあります。これらは正常な細胞ではないものの、癌というわけではありません。

異形成から癌になるまで
正常→軽度異形成→中等度異形成→高度異形成→上皮内癌→浸潤癌

このように進行しますが、いったん「軽度異形成」と診断されたからといって、必ず順に進行するというわけではありません。経過観察をするうちに自然に異形成でなくなったり、中等度から軽度になったりすることもあります。そのため「軽度異形成」で手術することはなく、基本的に経過観察になるようです。

しかし、この時点で私の診断は「高度異形成」でした。そして、検査をした医師の判断は「すぐに手術が必要」とのこと。

びっくりしましたが、思ったより冷静に話は聞けました。検査をした病院は検査のみの対応だったので、紹介元の小さなクリニックを再度受診して、そこで手術のできる病院を紹介してもらう必要がありました。

1年に1度きっちり検査を受けていたのに、「軽度異形成」ではなく、「高度異形成」にまでなって見つかったことは驚きでした。どのタイミングでどのように進行したかはもちろんわかりませんが、こんなにも早く進行するのだという怖さがありました。

クリニックの最初の検診→再検査→再度クリニック受診→手術のできる大学病院受診

というここまでの流れですでに最初の検診から2カ月程度は経っていました。こうしてあちこち受診しているうちに癌になってしまうのではないかと思い、焦っていました。

当時私は平日の都合もつけやすく、仕事の都合で制約の多い方よりはずっと早く上記の検査・診察スケジュールを進められていたと思います。それでも、こんなに時間がかかってしまうなんて、制度的にもう少しどうにかならないものかと切に思います。

手術のできる大学病院の受診

ショックを受けた大学病院の対応

検査を受けた病院で検査結果を聞いた後、いちばん最初に検査をしたクリニックを再度受診し、手術のできる大学病院を紹介してもらいました。

当然、検査結果などは一式揃えて、紹介状を持っての受診。すぐに「では手術の日程を決めましょう」と言われるものと思ってそのつもりで受診をしました。

しかし、まずはじめに説明されたのは、「再度こちらの病院で検査を受けていただく必要があります」と。確かに手術をする病院には責任があるでしょうし、正確に判断するためにも必要。検査を受けていた病院を疑う訳ではありませんが、私もその方が安心です。その医師によると、再度これまで受けてきた全ての検査「細胞診」「コルポスコープ診」「組織診」を行うとのことでした。

ところが…
「今日検査できるのは、細胞診のみです。コルポスコープ診と組織診は予約をお願いします。検査の予約がとれるのは、1か月後くらいになります。」と。

えーーー!!これにはびっくり。

「すぐに手術が必要」という判断がいったん出ているにも関わらず、再検査が1か月後ってさすがに悠長すぎる。検査をして、検査結果を待って、そこから手術の検討をしていたら実際に手術できるのはかなり先になるのでは…?

とにかく、「1か月後に検査なんてあり得ない!」と憤って、医師に何度も聞きました。

しかし、その医師は、めんどくさそうに同じ説明を繰り返すだけ。私の不安や焦りに寄り添うそぶりはほんの少しもありませんでした。むしろ、しつこい私に露骨にイライラしていました。

自力での病院探し

大学病院から帰宅して家族にも相談して考えました。

  • 手術を先送りにしている間に病気が進行してしまう可能性が拭えないこと
  • 説明不足で態度の悪い医師に自分の命を委ねたくないこと

この2つの理由で、受診した大学病院での手術はしないことに決めました。

再度紹介元のクリニックに他に紹介してもらえる病院はないか聞いたのですが、「そういうことはできない」と。ただ、自分で病院を見つければまた紹介状を書いてもらえるとのことでした。

というわけで、自力で病院探しをすることにします。

その中で、腫瘍専門の外来があり、かつ、予約がなくても待ちさえすれば受診できる日が設定されている病院を見つけることができました。とにかく受診して話を聞きたいと思い、紹介状を書いてもらってその病院へ駆け込みました。

最終的にたどり着いた病院の受診

病院の対応に感動と安心

結論から言うと、このタイミングでその病院、その医師に出会えて私は本当に幸運でした。

予約なしのフリー外来は、平日にも関わらずびっくりするほど混んでいました。しかし、主治医は物腰がとても柔らかく、これまでの経緯も丁寧に聞いて下さいました。

そして、「うちでも再度全ての検査が必要。ただし、細胞診、コルポスコープ診、組織診、全ての検査を今すぐにします」と!!

本当にホッとしたことをよく覚えています。

数日後には検査結果が出て再度話を聞きに行きました。

ところが、ここで予想外の検査結果が出ます。「高度異形成」ではなく、「軽度異形成」との判断だったのです。

主治医の説明によると、「組織診は一番状態の悪そうなところを採取して検査するため、決して全体の状態が判断できているわけではない。最も状態の悪い部分は最初の検査で採取された可能性が高い。」とのことでした。

すぐに手術をすることが決定

ここで、「高度異形成」と判断をした病院から、検査結果だけではなく、残っているはずの組織のプレパラートを送ってもらって判断をしてもらえることになりました。

プレパラートはすぐに送ってもらうことができ、やはり、「高度異形成、すぐに手術が必要」との判断になりました。

この病院の3度目の診察の日には手術日を決め、なんと術前の検査までしてもらうことができました。本当にスピーディー。大学病院の検査を待っているうちに実際に手術まで終えられてしまうスピード感でした。

入院と手術

子宮頚部円錐切除術

手術を受けるべきか否かで迷っている方もいるかもしれません。

ただ私は、「手術をできるだけはやく受ける」ということに迷いはありませんでした。

  • 進行してしまってからの手術では、命に危険が及ぶと恐れていたこと
  • 子宮頸部のみの手術で将来の妊娠が可能だったこと

この2つの理由で、判断に迷いは全くありませんでした。

もちろん手術自体にリスクが全くないわけではありません。全身麻酔による手術ですし、想定外のことだって起こりえます。また、将来妊娠できた時には、流産・早産の確率が手術を受けていない人より高くなってしまいます。

しかし、「手術を受けない、もしくは、保留にして時間が経って病気が進行してしまうリスク」と比べた時には、小さなリスクだと判断しました。

実際に受けた手術は「子宮頸部円錐切除術」という手術です。

これはその名の通り子宮頸部を円錐型に切除する手術です。切除した部分を切除した側、切除された側、両方検査して、病気の部分の取り残しがないかを確認します。

また、病気の部分の取り残しだけではなく、そもそも診断を確定するためにも必要な手術です。

これはどういうことかと言うと、ここまでの組織診では病気であろう部分の一部しか当然調べていないので、「本当に高度異形成なのか?」という疑問が拭えません。実際に私も「高度異形成」と診断された後に再度受けた組織診で「軽度異形成」と診断されていました。それをこの手術で子宮頸部の表面をぐるっと全て切除し、調べることで確定させるのです。

たった2泊の入院

あっという間に手術の日を迎えますが、入院期間は、私の手術した病院では基本的に1泊でした。中には、日帰り手術をされている病院もあるようです。

私の場合は、高齢の同居家族に病気のことや手術のことを伝えていなかったため、自宅で休むことが難しく、念のため2泊にしてもらいたいと事前に病院にお願いをしていたため2泊の入院となりました。

手術時間は前後の処置を含めても2時間ほど。術後強い痛みを感じることもなく、「本当に手術したのかな?」というくらい元気でした。

手術時の病理検査の結果「高度異形成」ではなく「上皮内癌」だった

手術後、切除した部分の病理診断の結果を聞きに病院へ行きました。

手術前の説明の時点で、手術後に病気の部分が取り切れず再度手術が必要になったり、当初の見立て(高度異形成)より実際は病気が進行していて他の治療が必要な場合があるということは聞いていました。そのため、手術自体よりも、この時の方が緊張していたかもしれません。

実際に結果を聞いたところ、「高度異形成」ではなく「上皮内癌」でした。

ただ、浸潤は全く見られず、病気の部分は完全に取り切れているということで、再手術等はなし。その後は経過観察となりました。

現在も年に1度は必ず同じ病院で経過観察を受けています。

将来の妊娠への影響は?

気になる妊娠への影響ですが、妊娠しやすさには影響はないとのことでした。ただ、手術をしていない人と比較すると流産・早産の可能性が高まってしまうとの説明がありました。

私の主治医はそこまでこの流産・早産リスクについて深刻な表現はしませんでした。「流産・早産には他の要因も関わるから、手術したからといってそんなに心配しなくてよい」と言ってくださいました。

もちろん、流産・早産リスクが高まってしまうことは事実なので、円錐切除術が必要となる前に予防・発見できればそれがいちばんです。ただ私の場合は、手術時点で「高度異形成」、実際には「上皮内癌」であったため、結果的に早いタイミングで手術をしたのは最良の判断でした。

振り返ってみて、今思うこと

定期的に検診を受けていてよかった

今振り返ると、もともと20代の頃からきっちり検診を受け続けていて本当によかったと思います。

もちろん、検診を受けていてもすべてが見つけられるわけではなく、年に1度の検診の間に進行する可能性がゼロなわけではありません。

しかし、子宮頸癌は「異形成」という、癌になる前の時点で見つけることができます。この時点で見つけることができれば、短いスパンで経過観察をしたり、手術をする必要があったとしても、将来の妊娠の可能性を残すことができます。

子宮頸癌は20代後半から40代前後に多い病気です。これから妊娠を望む人がかかってしまうことも多い癌です。

命に関わる危険を回避することはもちろん、「将来の妊娠の可能性を残す」と言う意味でも定期的に検診を受けることはとても大切だと思います。

納得のいく病院・主治医・治療

納得できる病院、主治医に出会えたことは本当に大きかったです。

大学病院で「1か月後に再度検査を受けてください」と言われた時、言われるがままに検査を待って手術を先送りにしていたらどうなっていたかは誰にもわかりません。しかし、もっと病気が進行していたら、妊娠することもできなかったかもしれないし、命の危険にさらされていたかもしれません。

「セカンドオピニオン」はかなり一般的になってきていると思います。病院・主治医・治療を、自分の責任で決めることが大切です。

正しい判断をすることの難しさ

現在は病気になっても、インターネットで簡単にあらゆる情報を得ることができます。便利な一方で、「本当かな?」と疑問に思うような情報もたくさんあります。

もちろんこれは病気に限ったことではありません。例えば、妊娠してからもいろいろなことを日々調べていますが、多すぎる情報に振り回されて必要以上に不安になってしまうこともあります。

自分で納得のいく判断をするのはとても難しいですが、なによりも大切なことです。